GAMMA10のような磁力線の端が開いている系(開放端系)では、イオンが磁力線に沿って端から逃げて行かないような工夫が必要です。GAMMA10では装置端部にイオン閉じ込め電位(プラグ電位)を形成する事で、イオン閉じ込めの向上をおこなっています。
ところで高いプラグ電位を形成する為には、深いサーマルバリアー電位を形成する必要があります。サーマルバリアー電位の深さに対しては、従来の理論的な公式が適用されると考えられていました。しかしGAMMA10実験では従来の理論的な予想よりもはるかに深いサーマルバリアー電位が形成される事が明らかになりました。理論・シミュレーショングループでは、サーマルバリアー電位形成の計算機シミュレーションを実行する事によって、従来に代わる新しいサーマルバリアー電位の深さに関する公式を発見する事ができました。下図には GAMMA10実験シーケンスとともに下図(a)に軸方向の各位置での静電位の計測結果をプロットしています。下図(b)にはサーマルバリアー電位の深さに関する実験結果(●)と従来の理論(▲)および私たちの新理論(■)を重ねてプロットしています。新理論が実験結果と良く一致している事が分かります。