1.ご挨拶

このたび筑波大学プラズマ研究センター長を拝命し、当センターの新たな歩みを担うこととなりました。その責任の重さを深く受け止めるとともに、当センターをさらに大きく前進させる決意を新たにしております。

私がまず重視しているのは、これまで当センターが築いてきたプロジェクトを確実に継続し、さらに高い次元へと発展させていくことです。長年にわたり培われてきた研究基盤、共同研究の蓄積、そして人材の厚みは、当センターのかけがえのない財産です。それらを確かな礎として受け継ぎ、その上に次代を切り拓く新たな挑戦を力強く積み上げてまいります。

当センターの使命は、プラズマ科学の先端を切り拓くことにありますが、その中核にあるのは、最も挑戦的なテーマであるフュージョン研究です。加えて、当センターは学部生を含む多くの学生を擁しており、次世代を担う人材の育成も重要な役割と考えております。

この使命を果たすため、先進的フュージョンの研究に果敢に挑戦していきます。困難が大きいからこそセンターとして挑む価値があり、世界の研究を前へ進める突破口は、常にその最前線から生まれます。当センターは、プラズマ科学の総合力を結集し、この本質的で挑戦的な課題に真正面から取り組み、国際的研究拠点としての存在感を一層高めてまいります。

同時に、プラズマ技術をプラズマ化学やプラズマ農業へと展開し、産業界とのターンラウンドを速く回すことで、研究成果の社会実装を加速していきます。学術の深化と社会への還元を両輪として進め、プラズマ科学が生み出す価値を新たな産業と未来の社会へと確実につなげてまいります。

さらに、国際連携を世界各地へと大きく拡げていきます。優れた知は、国や地域の壁を越えて結びつくことで、より大きな力となります。当センターは、国内外の研究者、そして当該分野に興味を持つ学生を広く迎え入れ、分野と世代を越えた交流と協働を通じて、新しい知を生み出す開かれた研究・教育拠点として発展してまいります。

当センターは、これまでの歩みを確かな礎としながら、フュージョン研究の最前線に挑み、プラズマ科学の新たな地平を切り拓き、人材を育て、社会に貢献する拠点として、さらに力強く前進してまいります。皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

センター長
数理物質系物理学域教授
京都工芸繊維大学名誉教授
比村治彦

2.センターの組織と運営

当センターは、学内委員が過半数を占める「プラズマ研究センター運営委員会」を年3〜4回開催し、重要事項を審議・決定する体制をとっています。あわせて、学外委員を含む「運営協議会」を年1回開催し、俯瞰的な視点から運営への助言を仰いでいます。日常的な運営については、センター内の教員による「センター実験会議」を月2回開催し、迅速な意思決定を行っています。なお、これら会議の議長はセンター長が務めています。

外部連携においては、核融合科学研究所(NIFS)の「基盤施設型共同研究」に参画し、実質的な全国共同利用・共同研究施設として活動しています。この共同研究の進捗管理と展開の策定を担うのが、全教員が参画する「将来計画検討タスクWG」です。本WGでは、研究成果の深化と戦略的な計画策定について検討し、常に最先端の研究水準を維持する体制を構築しています。また、NIFSの各種共同研究課題(核融合開発、課題提案型、研究コア提案型)も積極的に受け入れ、多様な枠組みを通じてフュージョンエネルギー研究やプラズマ技術の応用研究の加速に寄与しています。

センター内の実験室では、教員から週替わりで任命される「実験運転責任者(EKP)」が具体的な装置オペレーションを指揮します。毎週月曜朝には、全教員・全技術職員・事務局係長・学生が参加する「センターミーティング(CM)」を行い、前週の進捗と当該週の目標、直近の予定を共有します。CMに引き続いて、全教員・学生が参加する「研究ミーティング(RM)」を行い、研究結果や研究提案を徹底的に議論します。さらに、「Pilotプロジェクト」では、超伝導ミラー装置(Pilot GAMMA PDX-SC)の実験について、定期的かつ集中的な議論を重ねています。本プロジェクトには教員、技術職員、学生が総力を挙げて取り組んでおり、超伝導ミラープラズマから出ると予測されている良好な超高温プラズマ閉じ込めスケーリングの検証を急いでいます。

上記の大型装置を用いるプロジェクトの他に、小型装置を用いるプラズマ壁材料相互作用に関する実験研究、核融合プラズマに関する理論・シミュレーション研究も推進してきています。これらに加えて、2025年度より新たに(1)海外核融合スタートアップと提携した炉心プラズマ開発、(2)国内大手化学メーカーとの協働によるプラズマ化学、(3)学際ハブと連携したプラズマ農業、をプラズマ研究センターのプロジェクトとして開始します。