プラズマ研究センターでは、ミラープラズマの特長を最大限に活用した核融合研究の重要課題を分担する要素還元研究を更に深化し、強力に推進するため、以下のようなテーマを掲げて研究を進めています。
1. 電位・電場の径方向分布制御による輸送/閉じ込め改善
これまでの電場による閉じ込め改善研究の成果を踏まえ,コアプラズマ部に加えて,境界領域にまで拡張したプラズマ輸送制御の研究を行います。ECH 等の加熱やエンドプレートによる電位制御による揺動抑制による閉じ込めの改善の物理の成果をさらに進め、粒子輸送や輸送障壁の能動制御によるプラズマの内 部制御手法の確立に貢献します。また、これまでに集中的に整備したECRHジャイロトロンをさらに進化させるためMWレベルジャイロトロン開発を核融合科 学研究所と共同で進め、ICRF、NBIを加えた充実した加熱装置を駆使し、広範囲にわたるプラズマ加熱、熱・粒子束制御の研究を進め、コアから境界まで のプラズマ輸送の制御と併せて、電位・電場による総合的なプラズマの閉じ込め改善、高閉じ込め状態とダイバータ板への熱・粒子負荷の低減を両立させるための物理に貢献します。
2. 開放端磁場を活かした境界領域プラズマ研究
閉じ込め領域を有し、加熱により境界プラズマに匹敵する温度の端損失プラズマを生成でき、ダイバータ領域と類似する磁場構造である開放端磁場配位を有するGAMMA 10/PDXの特徴を活かし、ITERや原型炉にとって最も大きな物理課題であるダイバータ板の熱負荷を大きく低減するための境界プラズマの物理と制御、プラズマと壁との相互作用(PWI)について「数億度の高性能プラズマと常温壁の両立」を目指した研究を推進しています。
ダイバータプラズマ模擬研究では、開放端磁場領域である西エンド部にV字型タングステンターゲット板を備えるダイバータ模擬実験モジュール(D–モジュール)を設置し、以下のような課題に取り組んでいます。
- ITERにおけるプラズマ運転シナリオの鍵を握る非接触プラズマの定常維持制御に向けた研究
- 放射ダイバータプラズマ、非接触プラズマ環境下における原子分子過程や不純物輸送等の物理解明
- 境界領域プラズマの特性評価と、ダイバータ及び高温壁における水素リサイクリングの基礎研究
- エッジ-コアカップリングに着目した揺動相関に関する研究
- 高熱流プラズマ粒子束と材料表面の相互作用に関する研究
- ITERダイバータ板候補材であるタングステン材料等の材料特性を、大型プラズマ閉じ込め装置のダイバータにより近い環境下において検証する研究