軸対称化タンデムミラー装置 GAMMA 10/PDX の概要
GAMMA 10/PDX は,大きく分けて5つのミラー部からなります。両端のミラー部はプラグ/バリアミラー部と呼び,中性粒子ビーム入射とマイクロ波加熱を用 いて,サーマルバリア電位とイオン閉じ込めのプラグ電位を形成します。両プラグ/バリアミラー部の内側には、プラズマの安定性を確保するための極小磁場配 位のアンカーミラー部があり,高周波などにより高ベータプラズマを生成します。中央ミラー部は,核融合反応を起こす燃料プラズマを閉じ込める場所にあた り,高周波やマイクロ波などで高温高密度プラズマを生成します。中央ミラー部及びプラグミラー部は,軸対称ミラー磁場配位でできています。また、磁場配位全体の実効的軸対称化により,径方向へのプラズマ損失は,低く抑えられています。
磁場の強さは,中央ミラー部で0.5 T,両端の最も強いところで3.2 Tです。800MJ,4秒定格の縦型電動発電機は,直流磁場を発生させると共に,プラズマ加熱系に電力を供給します。また,プラズマを閉じ込める真空容器は全長27m,体積180m3で,6基のターボ分子ポンプと10台のクライオソープションポンプ,並びに合計2,600m3/secの排気速度を持つ大容量ヘリウムクライオパネルで真空排気を行います。
GAMMA 10/PDX では,生成されたプラズマの情報(形状,密度,温度,電位,閉じ込め時間,等)を計るために,様々な計測装置が設置されています。主な計 測装置としては,マイクロ波干渉計,荷電粒子分析器,分光器,X線計測器,ビームプローブ計測器,中性粒子分析器、レーザー散乱計測器等があり,これらの 計測系から得られる膨大な量の情報は,データ処理装置に蓄えられ,コンピュータによる高速処理によって解析され,次の実験への指針を与えます。また,これ らの既存の計測器とは別に,新たな発想の元に考案された先進的計測器の開発等も実験と並行して進められています。
これまで,サーマルバリア電位,プラグ電位の形成及びそれに基づく閉じ込めの向上,高ベータ化などのプラズマの高性能化を中心課題として研究を進め て来ました。現在、核融合科学研究所(自然科学研究機構)における双方向型共同研究を柱として,電位・電場によるプラズマ閉じ込め向上とその物理の解明, マイクロ波加熱装置であるジャイロトロンの開発,開放端磁場配位を活かしたダイバータ模擬研究,直接発電・プラズマ基礎基盤研究等について幅広く進めてい ます。