合同研究会議事録

平成23年度 合同研究会 発表概要・議事録    2011年8月4日

筑波大学プラズマ研究センターシンポジューム(第3回)

プラズマ物理クラスター スクレープオフ層とダイバー タ物理サブクラスター(第1回会合)

炉工学クラスター ブランケット サブクラスター(第2回会合)

双方向型共同研究会合「ガンマ10装置における炉壁材料の損耗・再堆積の研究とそのダイバータ開発戦略における位置づけ」

日時: 平成23年7月20日13:00 ~ 7月22日11:55

場所:  つくばサイエンスインフォメーションセンター大会議室

 

参加人数:52名

 

合同研究会幹事:

大野(名大)、朝倉(JAEA)、坂本(筑波大)、市村(筑波大)、上田(阪大)、秋場(JAEA)、榎枝(JAEA)

 

7月20日(1日目)

1.第15回 ITPA SOLダイバータTG会合のまとめと討論 (座長:朝倉 )

1−1) ITPA SOLダイバータTG会合の概要: 上田良夫 (阪大)

 第15回 ITPA SOLダイバータ会合は、5月16日から19日までヘルシンキで行なわれた。今回はHeat Fluxに関するセッションに多く時間を割き、それに加えて、リテンション、タングステンR&D、ダスト、Beの損耗と輸送、等に関するセッションが行なわれた。次回は、2012年1月にドイツのユーリッヒで行なわれる。

1−2) Material migration, tungsten: 上田良夫 (阪大)

 ITERにおけるBe第一壁の損耗量の見積もりをEROコード等用いてシミュレーションした結果や、Beのスパッタリングに関する最近の結果が発表された。EROコードによるBe第一壁の損耗による寿命が短すぎる(~1000ショット程度)ため、問題視されている。この見積もりと関連するBeスパッタリング率の実験値は1桁程度ばらつきが有り、ITER環境下での正確な見積もりが急務である。

  磁場閉じ込め装置内でのタングステン溶融層やナノ構造の挙動、タングステンの繰り返し熱負荷影響の最新結果が示された。閉じ込め装置内での溶融層は、JxBの方向に運動している可能性があること、ナノ構造上のアーク現象がLHDで観測されたこと、及び溶融限界より1桁程度小さいELM様熱パルスでも、繰り返し回数を増やすことで、タングステン上に亀裂の発生が認められることが分かった。

1−3) Fuel retention (modeling), Fuel removal, dust: 芦川直子 (NIFS)

・トカマクでのFuel retentionのモデリングを目指し,時間オーダー,ミリオーダーの現象を理解するためのマルチスケール手法等が紹介された.

・ Fuel removalセッションでは、レーザーによるWやBe中のD2除去方法、DIII-Dにおける酸素ベーキング実験および中性子予照射されたWに対するD2保持特性の変化について紹介された.

・ ダスト入射に関する装置間比較実験の成果,ASDEXにおける最近のWダストに関する成果、およびロシア・QSPA-Tで開始されたダスト分析結果について報告された.

 

1−4) Heat flux, Detachment, Fuel retention in gap: 増﨑貴 (NIFS)

・ 周辺及びダイバータにおける熱流束分布について、スケーリングの見直しが行われている。

・ UEDGEコードによるDIII-Dなど複数のトカマクにおけるデタッチメントのモデリングは、実験観測を矛盾なく再現するには至っていない。SOLPS4を用いたJETのモデリングでは計算グリッドを第一壁まで拡張することなどが行われている。

・JT-60Uの第一壁タイル側面のトリチウム蓄積分布がイメージングプレート法で計測され、ダイバータタイルで観測されたのと同様に、プラズマ側に短い特性長、奥側に長い特性長をもつ分布であることが示された。KSTARではキャビティ型の試料を第一壁の複数個所に設置して、飛来する炭化水素種、炭素粒子束の計測が行われた。

2.サテライトトカマクJT-60SAリサーチプランとITERの現状と今後の展望(座長:大野 )

2−1) JT-60SAリサーチプラン (SOL/DIV/PWI 分野) : 坂本瑞樹 (筑波大)

 現在建設が進められているJT-60SAのリサーチプランは本年3月にversion2.1として改訂された。この改訂にあたってのダイバータ、SOL、PWI分野の検討経緯とその内容について報告した。また、最近決まったEUのリサーチプラン検討責任者のメンバーとEPS会議時に行われたリサーチプランに対するサテライトミーティングの簡単な内容を紹介した。さらに、Version3.0への改訂スケジュールを示し、これまでに検討が遅れている”Radiative divertor study”と”Tungsten divertor and first wall”の項目の検討を進める方策等について議論した。

 

2−2) ITER・STACでの議論の状況: 小川雄一 (東大)

       STAC-10での議論の中で、主に炉心プラズマ関連の話題について紹介した。ITERでのハイブリッド運転モードに関して、CS/PFコイル電流や加熱・電流駆動能力との整合性のとれたシミュレーション結果が提示された。ディスラプションでの逃走電子抑制手段として繰り返しガスジェット・システムが検討されている。今後は逃走電子抑制の物理機構解明やディスラプション予知や回避の研究を、核融合コミュニティに期待する。真空容器内コイルは設置することを前提としR&Dが進んでいる。なお関連資料を希望する人は申し出て欲しい。

 

2−3) ITER・TBM計画の現状: 秋場真人 (JAEA)

 ITERおよびTBM計画委員会の現状について報告した。ITER計画は昨年7月に本島機構長を中心とする新しい体制が発足し、サイトの建設が順調に進んでいる。一方、東日本大震災がITER計画に与える影響を可能な限り小さくするためITER機構を中心として検討が開始された。

 TBM計画は各極がそれぞれ独自に開発した発電用ブランケットのモジュールをITERに取りつけ試験を行うものでITERの工学的利用計画としては現在唯一の計画である。5月に開催された第5回会合では、TBM試験を実施するためにTBMリード極とITER機構との間に取り交わす取決めのひな型がITER機構から提案されたが、知的所有権などについて専門家の検討を反映することとなった。

2−4) 加熱機器開発の現状: 井上多加志 (JAEA)

 日本はITERにおいてECH及びNBI加熱装置・機器の調達を分担するが、東日本大震災により、原子力機構の開発現場は大きな被害を受け、ITER調達への影響を最小限とするようITER機構と協議を行っている。

 最近の開発の成果をまとめると以下の通りである:

  • 世界に先駆けてITERの要求性能(1MW/800s)を達成した170 GHzジャイロトロン開発は、5 kHz変調、繰り返し運転における信頼性実証に成功し、二周波数ジャイロトロンの開発を推進している。
  • 負イオンNBの加速電極の1 MV真空絶縁はNBI開発における長年の課題であったが、絶縁距離拡大と曲率大径化による局所電界の緩和、並びにビーム軌道偏向の補正により大幅な改善を見た。その結果、 実規模モックアップブッシングにおいて、240 kV1時間保持成功、 0.98 MeV, 185 A/m2 の水素負イオン加速を実証した。

7月21日(2日目)

3.PWIシミュレーション研究の現状   (座長:上田)

3−1) 非接触プラズマ及びタングステン輸送のシミュレーションの現状: 星野一生(JAEA)

 非接触ダイバータのシミュレーションでは、実験で観測されるようなダイバータへの粒子束の減少を再現することが課題となっている。モデル精度向上のために、コード間ベンチマーク活動や、コードで用いているモデル・仮定の検討が国内外で進められている。

  タングステン輸送シミュレーションでは、周辺・ダイバータ領域におけるタングステン輸送を取り扱うために、従来の背景プラズマ解析に用いられてきたダイバータコードの拡張や、モンテカルロ法を用いた粒子コードの開発が進んでいる。

3−2) 壁材料の損耗・輸送・堆積のシミュレーション: 大宅 薫(徳島大)

     これまでに開発したプラズマ・壁相互作用の素過程コードを結合/連携して、CやBe 再堆積層形成によるグローバルな蓄積過程と、Wへの注入/拡散/捕捉による局所過程をモデル化して、ITERプラズマ対向壁のトリチウム蓄積量の評価計算を進めている。タイルギャップへのトリチウム蓄積や材料混合層Be-C, Be-W, C-Wの効果など、今後さらに考慮すべき課題は多い。

3−3) 高熱流プラズマ内でのダスト粒子挙動シミュレーション: 田中康規(金沢大)

  高熱流プラズマ内のダスト粒子挙動のモデリングを紹介した。核融合装置内のダスト粒子の3次元挙動解析コードDUSTT で考慮する質量方程式,運動方程式、エネルギー方程式および荷電粒子束平衡式を紹介するとともに、JT-60U内におけるダストの運動の計算結果を紹介した。また、多数のダスト粒子を放出した際の挙動を統計的に処理した結果についても紹介した。一方、実験室における高熱流プラズマ-ポリマー粒子の相互作用の基礎実験とその挙動の数値解析と溶発ガスのシールディング効果についての計算結果も紹介した。

 

4.PWIプラズマシミュレータ研究の現状とGAMMA10でのPWI研究(座長:上田)

4−1) ダイバータシミュレータ研究の今後の展開: 大野哲靖(名大)

 今後のダイバータシミュレータ研究において、次期核融合装置(ITER, JT-60SA)や原型炉への寄与の明確化することが重要であり、実機のダイバータプラズマ環境を模擬可能な装置の開発や適切な物理課題の抽出と次期核融合装置の設計に資する学術研究の重要性を指摘した。また,名古屋大学におけるダイバータシミュレータ研究として,水素同位体リテンション量のその場計測が可能な高熱流プラズマーイオンビーム解析装置(PSーDIBA)の開発状況と動的水素リテンションに関する最新データについて報告を行った。

4−2) GAMMA10装置におけるPWI研究: 中嶋洋輔(筑波大)

タンデムミラー端部に発生する高熱流粒子束を利用したダイバータ模擬研究(E-Divertor)の実現可能性をガンマ10西エンドミラー部にて実験的検証を行った現状について報告している。典型的なプラズマ(セントラル部プラズマ密度 2~3×1018 m-3,イオン温度 ~5 keV)において,端部ミラー出口近傍で端損失プラズマ流の粒子束密度,熱流束密度の計測を行い,粒子束密度 4×1022 H/s•m2 が得られた。また,ECH印加中にはITERにおけるダイバータ板の熱流密度に匹敵する値( ~ 9 MW/m2 )を達成し,ダイバータ模擬研究の為に必要な熱流密度を発生できる見通しが得られた。更に、端部容器内にターゲット板を設置し,プラズマとの相互作用による発光を高速カメラにより観測した。一方、端部に設置したイオンエネルギー分析器を用いて,端損失イオンのエネルギーを直接測定し、100 – 400 eVの範囲で制御可能であることを示した。極小磁場アンカー部におけるICRF追加熱により粒子束密度が 8×1022 H/s•m2 まで増加し,端部熱流・粒子束の増強に、追加熱が効果的であることを示した。

4−3) GAMMA10装置におけるダイバータ配位: 片沼伊佐夫 (筑波大)

 GAMMA10非軸対称アンカー部の一つを軸対称ダイバータ/ダイポール磁場に置き換えた GAMMA10 A-divertor配位について紹介した。 また GAMMA10 A-divertorの周辺領域で発生する粒子流束と熱流速およびダイバータ板へ流入する粒子流束と熱流束の評価を行なった。 この際ダイバータ板はダイポール部内に設置しているとして、コア領域のイオンは新古典拡散で径方向に輸送すると仮定した。

 

 

5.双方向研究拠点連携に関する発表と議論   (座長:坂本 )

5−1) GAMMA10装置における連携研究: 今井剛 (筑波大)

 筑波大のプラズマ研究センターの第2期中聞計画で推進している連携研究について説明した。ダイバータプラズマ・PWI研究を大きな柱とする研究計画を開始し、ミラーの端部でITERの定常熱負荷密度レベルの熱流束が得られ、また、ダイバータ配位模擬の新装置の開発も開始した。高熱負荷を得るためのジャイロトロンを中心とした加熱装置開発も順調に進み、イオン温度の高い、高磁場のプラズマの特性も活用して、これまでのダイバータ模擬装置とは異なった領域で、より炉のダイバータ環境に近い研究を、大学や研究機関と連携して、これまで以上に共同研究を推進して行く計画である。

5−2) QUEST装置におけるPWI研究: 渡辺英雄(九大)

 QUESTにおけるプラズマと材料との相互作用の解明を目的として、壁面(長期設置)及び表面プローブ(導入装置)実験を用いて材料の照射実験を実施している。QUEST装置の運転当初は、炭素の堆積物が顕著であったが昨年度夏以降から次第に減少し、ステンレス鋼のスパッタリングを示すFeなどの元素が観察され、プラズマ性能の着実な上昇がPWIの観点からも示された。今後は高温壁の設置に向けて、表面プローブの高温化(300−500℃を予定)を進める予定である。

5−3) Heliotron装置におけるエッジプラズマ研究: 水内亨(京大)

 京都大学エネルギー理工学研究附属エネルギー複合機構研究センターの関与するNIFS双方向型共同研究センター間連携研究の内、筑波大・京大連携プロジェクト「境界プラズマ・ダイバータプラズマ制御研究と先進ダイバータ概念開発」に関連するいくつかのトピックスが紹介された。周辺・ダイバータプラズマ乱流を対象とした複数の高速ビデオカメラと複合プローブの組合せによる空間構造・ダイナミクスの可視化、SMBI等による粒子補給制御、周辺・ダイバータプラズマに対するプラズマ電流ならびにプラズマ回転の影響等の研究が進められている。

5−4) LHDにおけるダイバータ研究: 増崎貴(NIFS)

            統計的磁気面・磁気島・ラミナー層が共存する周辺磁力線構造をもつLHDにおいて、ダイバータ熱負荷軽減法としてネオンパフ実験を行った。 最外殻磁気面外側で電子温度の低下が顕著であり、放射損失が2倍に増加する好ましい結果を得た。ターゲットプラズマの密度の違いによりネオンパフの放射損失が増加する効果の違いも観測されている。

       能動的な粒子制御を目指し、ダイバータの閉構造化を進めている。2010年度はトロイダル10セクションの内2セクションに試験的にバッフル構造ダイバータを設置し、EIRENEコードによる予測と同程度の中性粒子圧力を得た。

     質問:不純物パフ実験で加熱入力に対する放射損失の割合が低いが放射崩壊の原因は何か?

     回答:まだ理解できていない。不純物種を変えるなどして、高い放射損失割合を目指す。その過程で放射崩壊の原因も理解できると期待している。

5−5) トリチウムを利用した核融合炉材料研究: 波多野雄治(富山大)

  富山大学水素同位体科学研究センターでは、トリチウムガス曝露装置、イオン注入装置、各種測定装置等を共同研究に供している。トリチウムは微少量検出・非破壊分析・濃度分布の定量的可視化が可能であり、これらの特徴を活かしたプラズマ対向材料中のトリチウム・水素同位体挙動に関する共同研究・連携研究を歓迎する。中性子照射により放射化したプラズマ対向材料中のトリチウム測定技術の開発も重要な研究テーマと位置付けている。グロー放電発光分析法によるD、He分布測定でも多くの共同研究実績がある。

5−6) 東北大学における連携研究: 四竃樹男(東北大)

  昨年度から、放射化した材料を取り扱える共同利用施設として新たに双方向研究に加わり、今後核融合炉の実用化に向けて大きな工学課題となる、(1)プラズマ壁相互作用、(2)トリチウムの挙動に対する中性子照射効果、(3)超伝導材料に対する中性子照射効果、(4)関連した耐照射材料開発、を四つ軸とした双方向研究を開始した。現在、TDS、超伝導マグネットなどの機器整備を進めている一方、中性子照射した材料のプラズマ壁相互作用研究を実現するための準備を筑波大学と始めている。本報告では、これら双方向型共同研究の準備の現状を報告するとともに、中性子照射して非常に低いレベルに放射化した壁候補材料のプラズマとの相互作用研究をGAMMA-10において実現する手続き、技術的課題、ハードウエア準備についての概念を報告した。今後、少しずつ、関連部所との議論を深め、問題を明確にしつつ問題点克服のための具体的方策を提言して行く予定である。

 

6.今後のダイバータ材料・機器開発  (座長:秋場)

6−1) LiPb冷却ダイバータシステムについて: 小西哲之(京大)

 京大の提案するバイオマスハイブリッド概念を紹介し、ブランケットとダイバータの整合性あるエネルギー利用システムとして液体金属媒体の可能となる設計領域を示した。高熱流束を受けるダイバータにおいては、熱伝導度、熱応力により可能な設計領域は厳しく制約される。冷却だけなら大きな温度差のヘリウムやサブクール度の大きな水に依存した設計は可能であるが、熱利用を考慮すれば、高温で熱を取り出さなければならない。高出力密度を要求する発電炉では、ダイバータでの熱を犠牲にせざるを得ないが、バイオマスハイブリッドの小型低出力領域なら液体金属による熱利用は可能である。いずれにしても、安全性や信頼性、工学的な成熟度が必要であり、小型低出力炉によって現実的な炉内機器を試験開発する戦略は世界的にも一つの潮流となっている。

 

6−2) タングステンのパルス熱・粒子負荷影響: 徳永和俊(九大)

 各種の改良タングステン材のプラズマディスラプション時のパルス高熱負荷による損傷、損耗を評価するために、電子ビーム照射実験を行い、パルス高熱負荷特性を評価した。また、He照射を受けた焼結Wでは、ディスラプションレベルのパルス高熱負荷によって表面層の剥離や、ブリスターの形成、溶融などが促進され、大きな損耗やダストの発生をもたらす。繰返し熱負荷実験では、焼結Wの場合、亀裂、剥離、顕著な凹凸が形成され、ELM時に受ける繰返し熱負荷により、表面損傷が発生することが予想される。一方、高靱性W-1.1TiCでは、同条件の負荷を与えても、表面形状の変化はなく、繰り返し高熱負荷下における熱・機械的特性に優れていることを示している。

 

6−3) パルスプラズマガン装置開発と実験の現状: 菊池祐介(兵庫県立大)

    核融合炉壁におけるType I ELMによるパルス高熱負荷を模擬するための磁化同軸プラズマガン装置(兵庫県立大学)をアップグレードした。ELMに対するタングステンの応答・表面損傷(クラック、溶融、蒸気遮蔽効果)を模擬できるように、コンデンサバンク電源の増強、ドリフト管の改良、材料照射ターゲットチャンバーの製作を行った。初期結果として、水素パルスプラズマにより(ガン電源電圧:7 kV)、パルス幅~0.5 ms、線平均電子密度~1022 m-3、エネルギー密度~2 MJ/m2が達成された。このプラズマガン装置を用いて実施予定の共同実験内容についてもあわせて報告した。

6−4) W-SiC/SiCダイバーターの開発計画と現状: 香山晃(室蘭工業大)

 魅力的なダイバーター概念の構築をWを熱負荷側としSiC/SiCとの積層構造を持たせ、SiC/SiC側で除熱を行う概念で検討開始しいる。発表ではHe冷却についてのみ述べるがLiPb冷却方式においてより設計の柔軟性と機能的な魅力の向上が期待できる。また、本提案の基礎には室蘭において整備しているSiC/SiC複合材料の大型製造システムの完成があり、NITE法によるSiC/SiC複合材料を用いるW-SiC/SiCダイバーターは近い将来も含めて大量生産に対応できることを述べた。

 

6−5) 金属堆積物への水素捕捉: 片山一成(九大)

 タングステン堆積層に関する基礎研究成果をもとに、プラズマ容器内のトリチウムインベントリーについて検討した。プラズマ対向壁表面に水素入射飛程よりも薄い堆積層が形成される場合、バルクに入射された水素の脱離が抑制されるためバルク内の拡散インベントリーが増加する。一方、水素入射飛程よりも厚い堆積層が形成される場合、堆積層には水素が高濃度に捕捉されうるものの堆積層からバルクへの移行量が小さいため、バルク内の拡散インベントリーは減少する。

6−6) 高熱流にさらされる炉壁内面候補材料のレーザー計測: 糟谷紘一(応用ながれ研究所)

  高熱流入射による核融合炉関連材料の損耗開始閾値測定のため新しい方法を示した。単一パルス電子ビームによるタングステンへの照射やArFレーザー光による各種材料への多重照射を行い、表面に発生するクレーターをレーザー変位計により測定し、閾値を推定し比較した。表面下の損傷測定のために、レーザー超音波法を含む2種の方法を紹介し、核融合材料表面モニターへの応用を示した。ダイバータや第1壁の表面状態監視のため、ArFレーザー光多重照射を行い多結晶ダイアモンド・サンプルの表面損耗量を測定すると共に、表面のAFM観測やラマン分光を試みた。

 

 

7.合同会合に関する討論

・ これまで、NIFS・PWIおよびダイバータ研究会(現在は坂本・筑波大が代表)と科研費特定研究トリチウム・A1班(上田・阪大が代表者)と合同で行ってきたが、今回は筑波大学シンポジュームおよび双方向研究「ガンマ10装置における炉壁材料損耗・再堆積の研究とそのダイバータ開発戦略における位置づけ」(上田・阪大が代表者)と4会合同で行ったが、本分野の動向や他の関連グループ活動情報の共有について寄与できた思われる。

・ プラズマ物理クラスター・スクレープオフ層とダイバー タ物理(SOL&PWI)サブクラスター(世話人:大野・名大、朝倉・JAEA)と炉工学クラスター・ブランケット サブクラスター(世話人:小西・京大と秋場・JAEA)は来年度も合同会合を考えるが、予算の面で今後もますます運営は厳しい。

・ SOL&PWIサブクラスターの第2回会合は、11月の前半にJT60SAのリサーチプランについて他のサブクラスターと共に検討会を那珂研で行う予定。意見のある方や参加希望者は、坂本(筑波大)、仲野(JAEA)へ連絡を、また、意見交換はメールリストで行うので登録を依頼してほしい。

・ NIFS・PWIおよびダイバータ研究会は、NIFS・シミュレーション研究会と合同で12月13-15日を予定している。連絡はメールリストで行う予定。フォーラム会合は現在合同開催は考えていないが、必要となれば実施する。

・ NIFS・PWIおよびダイバータ研究会は本年度で終了となるため、次年度の申請者を相談する予定。こちらも予算の問題によりどこかと合同で行うことが必要。

・ 来年度も合同研究会を実施したいと考える。筑波大学は、来年夏は直線磁場閉じ込め装置のWSがあるため、その動向で判断する。NIFS研究会との合同会合とすることも考えられる。関係者からの情報を基に来年はじめに判断したい。

 

7月22日(3日目)

8.今後のダイバータ材料・機器開発と双方向型共同研究の現状と成果 I (座長:増崎)

8−1) プラズマ対向材料としてのタングステンの表面特性: 高村秀一 (愛知工業大)

 核融合炉壁材料として考えられているタングステンの材料の表面特性について以下の観点から評価を行った:(1) 表面ナノ構造のプラズマアニーリングによる修復、(2)ナノ構造を持つ表面の冷却効果を熱電対を用いて実証、(3)ナノ構造形成に伴う2次電子放出の抑制効果、(4)ナノ構造形成に伴うスパッタリングの抑制、(5)ナノ構造表面における過渡熱負荷に対するクラッキング耐性、そして(6)全放射率を用いたタングステン表面からの熱放射特性の理解が進んでいる。

 

質問:ナノ構造特性への不純物の影響はどうか?

回答:実験はヘリウムのみで行っているのでわからない。ただ、水素を混入しても特性は変わらないようである。タングステン表面に炭素が堆積するとナノ構造ができないという報告がある。今後メタンとヘリウムの混合ガスを用いた実験を行う予定。

8−2) ヘリオトロンJおよびGAMMA10における粒子補給の最適化実験: 小林進二 (京大)

 ヘリオトロンJおよびGAMMA10では、超音速分子性ビーム入射(SMBI)による粒子供給実験が行われている。ヘリオトロンJでは、SMBI入射した場合の方が、通常のガス導入と比べて高い密度・蓄積エネルギーが得られている。GAMMA10では、SMBIの初期入射実験を行い2方向で同期した高速カメラ計測を行った。入射位置の最適化を進めることで、蓄積エネルギーおよび密度の上昇を目指す。

質問:なぜDEGASコードで、コアプラズマ部のメッシュを増やすのか?トロイダル方向を密にすべきではないか?

回答:トロイダル平均しているので基本的に問題ない。トロイダル方向はこれまで同じ分割の仕方をしている。

質問:実際の炉において燃料供給がどのように行えるのか、問題意識を持って研究を進めてほしい。

回答:意識する。H-JとGAMMA10における実験の比較から多くの知見が得られると期待している。

質問:SMBIによる燃料供給率はどの程度なのか?

回答:まだ評価していない。

8−3) GAMMA 10 における高密度・高エネルギー粒子束に対する直接エネルギー変換の基礎研究: 竹野裕正 (神戸大)

 2010年度の研究成果の報告があった。CUSPDECでは2段減速の手法が調べられた。メインコレクタがサブコレクタに(可動範囲内で)近い配置の場合に、サブコレクタでの回収電力が大きい。またサブコレクタの側面積を増大させれば、ほぼ面積比に応じて回収電力が増大した。

 GAMMA 10に接続されたバイアス型TWDECの実験では,片側ECH運転モード時へ適用され、変調器-減速器間のRF位相差に対する分布関数の変化がRF運転モードと同様に確認された。CUSPDECでの反射イオンの軌道を決める機構、TWDECのLHDへの適用性などについての質問がなされた.

質問:TWDECは水素とヘリウムを分離した形で用いることができるか?

回答:粒子種の分離はできない。エネルギー回収する粒子種を想定して設計する。

筑波大学双方向型共同研究の現状と成果 II(座長:長山)

8−4) タンデムミラーGAMMA 10におけるトムソン散乱計測による電子温度計測: 吉川正志 (筑波大)

 双方向型共同研究のもとで2009年度からGAMMA 10において電子温度直接計測を目的としてトムソン散乱計測システムを導入してきた。GAMMA 10のプラズマ密度は、トーラス型核融合型プラズマ装置の周辺プラズマに対応しており、低密度プラズマに適用できるトムソン散乱計測システムの開発は、コア部から周辺部にわたるプラズマ計測にとって重要である。GAMMA 10トムソン散乱計測システムは、大口径の集光光学系の導入によって5×1017 m-3の電子密度程度以上での電子温度計測が可能となった。

8−5) 新型マルチパストムソン散乱計測システムの開発: 安原亮 (NIFS)

散乱光量の増大、測定時間分解能の向上を目的にガンマ10において、新型マルチパストムソン計測システムを開発している。光線追跡及び偏光解析により偏光制御と像転送光学系による新型マルチパストムソンシステムの実現性を確かめた。散乱光量は、2パスで約2倍、16パスで6倍程度の散乱光量の増加が見込める。また数百ナノ秒の時間スケールを16分割した高時間分解能計測が可能であることを示した。今年度は2パスシステム、来年度はマルチパスシステムの実証を目標に研究を進める予定である。

8−6) マッハプローブを用いたGAMMA 10周辺領域における流れ場計測: 安藤晃 (東北大)

 本研究では簡便なプラズマ流計測法として、小型のマッハプローブを用いた観測機器を整備し、GAMMA 10装置セントラル領域周辺部におけるプラズマ回転や軸方向流の観測を行っている。セントラル領域周辺部にマッハプローブを挿入し、流れのマッハ数及び方向の時間変化の計測を行った。大電力ICRF加熱やplug/barrier部ECH印加時での周辺領域でのプラズマ流の変化について観測を行い、ドリフトモードやフルートモードなどの揺動現象との相関について検討を行った。

8−7) プラズマ端での高密度プラズマ流生成・制御の基礎研究: 篠原俊二郎 (農工大)

 本年度は双方向型共同研究の新規スタートであり、研究テーマについて関係者との議論と方向性を決めるのが目的である。ここでは、進展が目覚ましい高密度ヘリコンプラズマを用いた研究計画を提示した。具体的には発表者の今までのヘリコン研究の成果、その知見・技術を用いた今後の双方向型共同研究のテーマ案について、高密度プラズマ源、高密度プラズマ流制御、高ベータプラズマについて分けて述べ議論をした。

8−8) GAMMA10における加熱ICRF波動とAIC波動に関する研究: 池添竜也 (筑波大)

 双方向型共同研究のもと、ダイバータ模擬実験で必要とされるGAMMA10プラズマの制御性向上・運転の自由度拡張を目指し実施した研究を三つ紹介した。 (1)二つのアンテナから励起される波動を積極的に干渉させることで、大きくパラメータを変化させることに成功し、密度上昇、電子温度上昇をもたらす運転を見出した。 (2)MHD安定性の増強のために、三次元波動解析コードを利用して、アンカー部アンテナの波動励起効率の改善を図った。 (3)エネルギー輸送に重要な役割を果たすAIC波動の自発励起機構解明を目指し、マイクロ波反射計を用いて詳細な空間構造の計測を行った。