5.計算機コード

ここでは、理論・シミュレーショングループが作製保持している主な計算機シミュレーションコードについて紹介します。

(ア)  線電流および体積電流による磁場計算コード

 磁場閉じ込め核融合装置はコイルに大電流を流す事でプラズマを閉じ込める為の強い磁場を形成します。この為にコイル電流から磁場を計算する為の計算コードが必要になります。理論・シミュレーショングループではコイルを幾つかの線電流で近似する事で磁場を計算するコードと、コイルの三次元形状そのものから磁場を計算するコードを持っています。現実のコイルは沢山の細い線状コイルの束から成り立っていますが、それを正確に取り入れることは計算機の計算時間を消費する観点から現実的ではありません(計算時間を無視して良いならば実際の線状コイルを考慮し、線電流を用いた磁場計算コードを利用すれば正確に磁場を計算する事は可能です)。従って上記の二種類のコードを使い分ける事で効率的に磁場を計算できるようになります。

(イ)  平衡コード

 軸対称なダイバータ磁場配位に適用する為に制作されました。非等方圧力分布を取り入れる事ができる Grad-Shafranov 方程式を数値的に解いています。このコードを用いてプラズマが閉じ込められたときに磁場が真空状態からどのように変形するかを計算する事ができます。この平衡磁場がプラズマの安定性や輸送に対して重要な磁場配位です。

(ウ)  コア領域の安定性解析コード

 GAMMA10のような複雑な3次元構造を持った磁場配位をそのまま解く事もできますが、近軸近似を利用する事で磁場の3次元構造をとても単純な形状として扱う事ができます。このコードでは磁場に対して近軸近似を用いてバルーニング方程式を解く事で、プラズマのバルーニングモード(フルートモードを含む)に対する安定性の解析を実行します。

(エ)  ダイバータ領域の安定性解析コード

 軸対称なダイバータ磁場配位に適用する為に制作されました。イオンの運動論的な効果(有限ラーモア半径効果)、磁力線曲率の効果、プラズマの圧縮効果、イオンの非等方温度分布、およびイオン密度と温度の径方向分布の効果を取り入れた大変詳細な方程式(理論・シミュレーショングループで導出した新しい基礎方程式)を解く事で、フルートモードに対する安定性解析を実行します。

(オ)  粒子軌道平均フォッカー・プランクコード

 荷電粒子間のクーロン相互作用を可能な限り正確に計算する為のシミュレーションコードです。磁力線方向には粒子の軌道に沿ってバウンス平均を行なっています。このコードによって、ミラー磁場に閉じ込められたプラズマがクーロン衝突により、磁力線に沿ってミラーの端から損失する過程を正確に追跡する事が可能です。このコードには外部波動によるプラズマの加熱、中性粒子との荷電交換反応など多くの効果が含まれていて、粒子の損失計算のみならず、サーマルバリアー電位形成の研究などにも使われ、その適用範囲は多岐にわたっています。

(カ)  モンテカルロ・コード

 荷電粒子の軌道を追跡して、更に場の粒子とのクーロン相互作用を取り入れたコードです。このコードには外部波動による粒子の加熱と中性粒子による荷電交換反応が取り入れられています。このコードで非軸対称磁場中の粒子の径方向輸送を調べる事ができます。またこのコードはプラグ電位形成など研究にも使われ、その適用範囲は多岐にわたっています。

(キ)  径方向輸送コード

 軸対称磁場内で導出した簡約 MHD 方程式系を解いています。特に磁場中に発生するフルート揺動を追跡する為に開発されています。このコードでダイバータ磁場やGAMMA10中央ミラー部で発生するフルート不安定性の線形成長過程や非線形飽和状態でのプラズマに対する輸送機構に関する研究が行われています。

(ク)  粒子軌道追跡コード

 軸対称ダイバータ磁場およびダイポール磁場内の粒子の軌道(ストキャスティック軌道)を追跡する為に開発されたコードです。(ψ,θ,ζ)の流れ座標系で粒子の運動方程式を解いています。磁場データはメッシュ点上に保存されて粒子位置の磁場は高精度の内挿公式を用いて計算しています。このようにする事で粒子の軌道を高速に追跡する事ができます。特にダイバータ部からダイポール部への粒子の輸送を調べるときに威力を発揮します。

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