研究紹介_プラズマ診断

1.プラズマ診断について

  制御核融合を実現するためには、制御核融合を実現するためには、高温プラズマを生成し、高密度の状態で一定時間以上維持する必要があります。プラズマとは、物質の第4の状態ともよばれ、気体を加熱して電離した状態を指します。核融合プラズマからは、さまざまな波長の電磁波が放射されます。このプラズマから放射される電磁波は放射損失によるプラズマのエネルギー閉じ込めの悪化をもたらし、その妨げになります。また、プラズマを磁場などを用いて閉じ込めるとプラズマ中では様々な揺動が生成するためプラズマ粒子やエネルギーがプラズマ外へと逃げてしまいます。従って、プラズマ中の情報を調べることは非常に重要となります。

2.核融合プラズマにおけるプラズマ分光診断

  プラズマから放射される光には、電子・イオンのクーロン衝突による制動放射、電子 ・イオン再結合による再結合放射、原子あるいは不純物イオンの放射遷移による線スペクトル放射があります。プラズマからの制動放射の放射パワーは、不純物イオンの電荷数Zの2乗に比例するので、プラズマのエネルギー閉じ込めを向上させるためには、不純物によるプラズマの汚染を防がなければなりません。不純物イオンからの放射遷移によるスペクトルは不純物イオン固有のものなので、このスペクトルを測定することにより、不純物イオンを特定することができ、その空間分布を測定することにより不純物イオンの空間分布を知ることができます。この空間分布を時間をおって測定することにより不純物のプラズマへの混入の様子を知ることができ、不純物の発生機構の解明に役立ちます。さらに、不純物イオンの輸送現象をも知ることができ、これはプラズマ中の電位構造を知る上で重要となります。また、不純物イオンスペクトルのドップラーシフト、ドップラー広がりを測定することにより、プラズマ中の回転速度、イオン温度等を測定することができます。プラズマ回転速度の測定からプラズマ中の電場の空間分布を導出することが可能です。この他、絶対放射強度の測定から中性原子密度の空間分布の測定が可能です。また、分光モデルにあてはめることにより電子温度、電子密度等のプラズマパラメーターを測定することも可能です。

 

2.ガンマ10における分光診断

  分光計測は、基本的にプラズマに影響を与えずに行うことができるので、プラズマのモニターに非常に適しています。ガンマ10では、軟X線分光器(5-35nm)、真空紫外分光器(15-105nm)、紫外/可視分光器(200-700nm)、Hα線計測器を用い て、プラズマ放射光を測定し、分光モデル(主に衝突・輻射モデル)を用いてプラズマ診断を行っています。
 Hα計測装置によってプラズマの形状をモニターすることができます。可視分光器によって不純物の混入の様子を常時モニターしています。これらは、実験開始初期の壁コンディショニングの評価に役立ちます。この紫外/可視分光器による不純物スキャンは、真空度劣化の原因を探るときにも役立ちます。また、可視/紫外分光器によるプラズマ回転計測による電場計測を行うことにより、電位閉じ込めについて調べています。

1)Hα線2次元計測装置によってプラズマの中性原子密度分布の時間変化を観測しています。 この測定器は、Hα線の放射輝度の空間分布の時間変化を視覚的に示すことができ、衝突輻射モデルにあてはめることで中性原子密度分布の時間変化をみることができます。 

2)2次元紫外可視分光測定装置によって、不純物イオンの紫外・可視領域の空間分布が測定でき、特にドップラーシフトを測定することによってプラズマ回転測定を行っています。プラズマ回転測定によって、 反磁性ドリフト、×Bドリフトの測定がなされ、電場の空間分布の測定も可能となりました。また、 不純物イオンのイオン温度計測、水素原子のバルマー線系列の線強度比による電子温度、密度計測も行っています。
 
3)真空紫外分光器で、真空紫外領域の不純物イオンスペクトルの空間分布の測定を行っています。この測定によって高電離不純物イオンの空間分布の時間変化がわかります。 

4)軟X線分光器は、斜入射式の分光器と多層膜反射鏡型の分光器と二種類あります。斜入射分光器は、多波長同時測定可能な分光器であり、真空紫外分光器と同様、不純物イオンの空間分布を測定できます。多層膜反射鏡型は単一波長で切り取った2次元画像を測定できます。これら は、不純物の発生機構の解明に役立ちます。 

 分光測定によって得られたデータを分光 モデルにあてはめることによって、プラズマ電子温度、電子密度、中性原子密度、イオン温度等、プラズマパラメーターを知ることができます。 

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3.マイクロ波によるプラズマ診断

  マイクロ波によるプラズマ診断は、プラズマ密度、プラズマ揺動を直接測定することができ、2次元イメージング測定などを用いることにより、より視覚的にもプラズマの振る舞いを理解することが可能となります。

 

3-1.密度分布計測

  ガンマ10では、干渉法による電子密度測定を行っている。クライストロン発振器あるいはインパット発振器によりマイクロ波を発振させ、それをプラズマを通る透過波とプラズマを通らない参照波とに分け、両方の波の間に生じる位相のずれを計測することによって、プラズマの線積分量を求めている。現在、マイクロ波干渉計は、ガンマ10セントラル部、セントラルスロート部、東西アンカー部、東西バリア部、東プラグ部、西プラグ部の計8箇所に設置してある。セントラル部では送受信ホーン可動型干渉計を用いて複数のショットから電子密度分布を得る装置と、1ショットで電子密度分布を得ることが可能なマルチ干渉計が設置されています。また、西プラグ部では、検出器を2次元配列して2次元密度分布を計測できるようにした位相イメージング干渉計が設置されています。

 

3-2.密度揺動計測

  プラズマに生成する密度揺動は、マイクロ波反射計やフラウンホーファー回折(FD)法などを用いて測定することができます。マイクロ波反射計は、プラズマ中を電磁波が伝搬するときにカットオフと呼ばれる現象により電磁波が反射されることを利用して局所的な密度を測定する方法です。この方法は、周波数を変化させると、測定位置を変えて密度を調べることが可能です。ガンマ10には、電磁波の周波数を固定して揺動の変化を測定するマイクロ波反射計と、周波数が4種類で測定できる超短パルス(65ps)反射計の2種類の反射計があります。FD法では、前方散乱を測定することによりプラズマ中の揺動の波数と周波数の関係を調べることが可能です。

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4.ビームプローブによるプラズマ診断

  金中性粒子ビーム(Gold Neutral Beam Probe, GNBP)によるプラズマ電位計測を行っています。これにより、プラズマ中の電位の径方向分布、プラズマ揺動計測を行い、プラズマ電位閉じ込めの改善、Er(径方向電場)シアーの効果についての検討を行っています。

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5.トムソン散乱計測

  プラズマの電子温度計測法として、核融合プラズマでは一般的に行われている、トムソン散乱計測をタンデムミラーガンマ10においても適用することとし、H21年度に核融合科学研究所の協力のもと、ガンマ10-トムソン散乱計測システムを導入しました。2J/pulseのNd:YAGレーザーを使用し、90°散乱光をミラーにより光ファイバーへ集光し、最終的には空間9点を同時計測できるようにする予定です。これまでに、ラマン散乱光、レーリー散乱光によるシステム調整を行いました。H22年5月の実験からトムソン散乱光信号の最初の取得に成功しました。H22年9月期からの実験で、より信号精度を上昇させた実験を行う予定です。

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